バウムクーヘン発祥の本場ドイツでは、三日月のようにカットするそぎ切りという切り方が主流です。そぎ切りにすると、バウムクーヘンのふんわり感や口当たりの軽さを最大限に引き出せるとあって、日本でも注目を集めています。
そこでこの記事では、バウムクーヘンの代表的な切り方を詳しくご紹介。本場ドイツのそぎ切りを始め、扇形、輪切り、縦切り、くし切り、神戸切りと呼ばれる珍しい切り方まで特集しています。
バウムクーヘンが美味しくなる切り方、おしゃれに見える盛り付け方を詳しく知りたい方はぜひご参考ください。
切り方で本格的な食感・香りを楽しもう!
バウムクーヘンを本場の切り方でカットすると、本格的な食感や香りを楽しめるようになります。日本でのバウムクーヘンは身近に買える縁起物として有名ではありますが、本場ドイツでの一般的とされる切り方までご存知の方はそれほど多くはないでしょう。
本場の切り方は、もちろん日本で製造されるバウムクーヘンにも有効です。これから詳しい切り方をご紹介していくので、ぜひ試してみてください。きっと、バウムクーヘンの美味しさを再発見できるはずです。
本場ドイツの切り方は「そぎ切り」
本場ドイツにおけるバウムクーヘンの一般的な切り方は「そぎ切り」です。日本にも食材の切り方としてそぎ切りはありますが、薄くななめに削ぐそのイメージとはちょっと違っています。
ドイツのそぎ切りは、スプーンですくうかのような動作でホールのバウムクーヘンにナイフを入れる切り方です。曲線を描くようにナイフを横向きに入れていきます。そうすることで、生地の目を潰すことなく、美しいままカットができるようになるわけです。
また、バウムクーヘンを薄くスライスするのが本場ドイツのそぎ切りのポイントです。そぎ切りしたバウムクーヘンを横から見ると、三日月をスリムにしたような形になります。そぎ切りした後のホールのバウムクーヘンの断面は波を打ったような形で残ることも特徴的です。
そぎ切りを上手に切るコツ
そぎ切りでバウムクーヘンを上手に切るコツは、ペティナイフのような小ぶりの刃物を使うことです。日本での入手は難しいようですが、本場ドイツではバウムクーヘンを美しく切るための専用ナイフが存在するほど、切り方にはこだわっています。
ペティナイフのような小ぶりの刃物を持っていない方は、ハンバーグやステーキを自宅で食べるときに使用するテーブルナイフで代替するとよいでしょう。お肉や野菜のカットに適した三徳包丁のような大きな刃物だと、スライスするときに手指をケガをしてしまう可能性があり危険です。
また、横に寝かせたナイフを右側から入れる際、左手でバウムクーヘンの左端を押さえておくのも上手に切るコツです。のこぎりを引くようにナイフを動かすと、バウムクーヘンの断面がボロボロになってしまうため要注意。ナイフを横に滑らせる、三日月を作るように生地をカットしていきましょう。
本場ではバウムクーヘンを薄く切る理由
ドイツでバウムクーヘンを薄く切る理由は、日本のバウムクーヘンと違って固めに焼き上げているから。日本のバウムクーヘンは、日本人の好みに合うようにソフトな仕上がりに改良されています。
しかし、本場ドイツのバウムクーヘンは国立ドイツ菓子協会によって厳格なレシピが定義づけられているのです。そのレシピで作るバウムクーヘンは、生地の目が詰まっているハードな仕上がり。厚めに切ると口当たりが重く、食べづらくなってしまうようです。
そのため、薄いそぎ切りにすることで軽い食感と口どけのよさが味わえるようにしています。表面を大きく取ってスライスすることで、バウムクーヘンの良い香りや年輪のような模様を楽しめることも薄く切るメリットであるでしょう。
また、身近に購入できる日本と違ってドイツでのバウムクーヘンは高級品の位置づけ。時代を遡るとより高額かつ貴重でもあったため、薄く切って食べる習慣があったのではないかといった意見もあります。
バウムクーヘンのおすすめの切り方
ここからは、日本でも親しまれているバウムクーヘンの切り方を魅力とともにご紹介していきます。扇形・輪切り・縦切り・くし切りと簡単にカットできる方法ばかりなので、ぜひお気に入りの切り方を見つけてバウムクーヘンを楽しんでいきましょう。
扇形切り
バウムクーヘンのおすすめの切り方のひとつめは扇形切りです。バウムクーヘンの固めの焼き上がりや厚みを活かしてカットしたい方におすすめです。円い形のバウムクーヘンであれば、4等分か8等分することで自然に扇形に仕上がります。
バウムクーヘン扇形切りの魅力
バウムクーヘンを扇形切りにする魅力は、オーソドックスかつ簡単にカットできることです。ホールのバウムクーヘンは中心に穴があいた形になるので、難しく考えなくても4等分か8等分することで簡単に扇形にすることができます。
また、バウムクーヘンを冷凍保存したいときにも、厚みのある扇形はラップで包みやすく、また崩れにくくもあるので保管しやすく便利です。ピックを刺してつまみやすくしたり、プレートの上でケーキのようにフォークでいただいたりなど、おしゃれな盛り付けも楽しめます。
輪切り
バウムクーヘンのおすすめの切り方には、リング状のデザインを活かせる輪切りもあります。小さめのサイズで固めに焼き上げたバウムクーヘンに適した切り方です。ホールのバウムクーヘンを横に倒して、輪っかが残るようにお好みの厚さでスライスすれば出来上がりです。
バウムクーヘン輪切りの魅力
バウムクーヘンを輪切りにする魅力は、なんといっても美しい年輪を円形のままで楽しめることです。バウムクーヘンは芯棒に生地を塗りつけながら、何層にも分けて焼き上げていきます。とくに職人の手作りのバウムクーヘンであれば、味とともに素晴らしい技術も堪能できるでしょう。
また、バウムクーヘンがグレーズ(糖蜜)やチョコレートでコーティングされている場合は、輪切りにすることで食べるときによりたくさんの甘い味を楽しめます。薄くしたい場合、厚めにしたい場合など、幅の調節が簡単なのも輪切りの魅力のひとつです。
縦切り
縦切りにするのも、バウムクーヘンのおすすめの切り方です。高さのあるバウムクーヘンや側面が凹凸になっているバウムクーヘンを切るときに、切り口の美しさを際立たせることができます。縦切りの切り方は、お好きな幅のサイズで上から下に向かってナイフを入れるだけできれいに仕上がります。
バウムクーヘン縦切りの魅力
バウムクーヘンを縦切りにする魅力は、縦のしま模様を楽しめることです。木を切ったような年輪の模様は見えなくなってしまう切り方ですが、いつもと変わった気分を味わいたい場合によいでしょう。また、これまでに紹介した扇形切りや輪切りだと大人数で分け合いたいときにやや不便です。
縦切りであれば、均等にスライスしやすいので、幅を調節しながら大勢でバウムクーヘンを楽しめるようになります。縦切りのバウムクーヘンを横にしてホイップクリームを添えれば、シフォンケーキのようなおしゃれで可愛らしい盛り付けも可能です。
5等分にキレイに切る方法は?
ホールのバウムクーヘンを奇数の5等分で縦切りする場合は、ナイフの入れ方に戸惑ってしまうのではないでしょうか。なんとなく切込みを入れて失敗したら取り返しがつかなくなるため、なんだか緊張してしまうものです。
バウムクーヘンを5等分にキレイに切るためには、クッキングペーパーで作るガイドが役立ちます。まずは、クッキングペーパーを半分に折る作業を3回繰り返しましょう。そうすれば、8等分に折り目がついたクッキングペーパーが出来上がります。
不要となる3面を重ねてクッキングペーパーを筒状にすると、五角形のガイドの完成です。ホールのバウムクーヘンの穴にガイドを差し込みましょう。ガイドとなる折り目に沿って、バウムクーヘンをカットすればキレイに5等分することが可能です。
くし切り
バウムクーヘンのおすすめの切り方はくし切りです。中身にりんごやゼリーが入っているバウムクーヘンに最適な切り方となります。くし切りにするためには、最初にバウムクーヘンを2等分します。等分に切ったものをそれぞれ2分割し、さらに2分割ずつカットすれば合計8個のくし切りが完成です。
バウムクーヘンくし切りの魅力
バウムクーヘンをくし切りにする魅力は、中に詰めた焼きりんごやゼリー、ムースやあんこを際立たせてカットできることです。味だけでなく、内側のりんごやゼリーと外側のバウムクーヘンの生地の境目の美しさも目で楽しむことができます。
バウムクーヘンの表面にグレーズがコーティングされているなら、果実と生地とグレーズの3層の美しさを眺められるでしょう。また、くし切りのバウムクーヘンにホイップクリームやシロップを添えれば、プレート上に高低ができるため盛り付けに立体感も生まれます。
神戸市民が知る「神戸切り」とは?
本場ドイツから日本へバウムクーヘンを普及させたカール・ユーハイム。横浜から神戸へと店舗を移転し、今日では兵庫県神戸市がユーハイム本社の所在地となります。そんなユーハイムのお膝元でもある神戸では、バウムクーヘンを食べるときに「神戸切り」という切り方をするようです。
神戸切りの方法
神戸市民なら誰もが知っていて、もちろん食べたこともあると噂の神戸切り。風味豊かでしっとりとした味わいのバウムクーヘンがますます美味しくなる神戸切りとは、いったいどのような切り方なのでしょうか。
実は、神戸切りとは本場ドイツのそぎ切りと同じような切り方を指しています。ホールのバウムクーヘンをスプーンですくうようにナイフでスライスしているのですが、ドイツのそぎ切りよりはやや厚めのような感じにも思われます。
常に順番待ちができてしまうほど人気のユーハイム神戸本店では、バウムクーヘンを神戸切りで食べられるとのこと。神戸はバウムクーヘンを広めたユーハイムのお膝元。長い歴史のなかで、地名が切り方に冠されていったのかもしれません。
本場ドイツ風に薄くスライスして食べてみよう!
本場のバウムクーヘンの切り方は、スプーンですくうようにナイフでカットするそぎ切りです。ナイフで薄く切ることで断面を美しく保ち、口どけをよくすることができます。日本では神戸切りとして親しまれてもいますが、まだ未経験の方は早速バウムクーヘンを薄くスライスして食べてみてはどうでしょうか。